記念講演

7月23日の開会式の後の記念講演として、国立衛生研究所(National Institutes of Health)遺伝学者・小児科医であるDr. Joan Mariniが“OI Research : Progress and Promise”と題しての講演で開幕しました。

Dr. Mariniは15年間OIの研究に携わっていて、その間の研究成果・現在の状況そして将来の展望についての話がありました。

 話の流れとしては、持ち時間2時間の中で「なぜOIの研究をするのか」から始まり「過去から得るもの」「OIのタイプの種類」「研究を通して得たOIに関する主な情報」「OIの遺伝学分野」「現在行われている臨床実験」そして「これからの展望」という流れで進められ、最後に質疑応答で締めくくられました。

 主な内容としては、「OIの研究」をする動機として「新しく得る研究成果を正しく理解するため」と「OI患者の生活向上のため」であること。

それには過去に得たOIに関する情報・知識を参考にすることは重要であると強調されていました。

「OIの種類」では、アメリカ,カナダのOI患者は3〜4歳までにはほぼ全員が自分のタイプを知っていて、全ての治療はそこから始められるということ。OIの研究は主に北アメリカで行われており、イタリアにおいてはタイプTの研究がされているが、他の国々においては殆どなされていない(情報が入ってこない)ようであること。

タイプVかWの判定は微妙な部分もあるが、ほぼ3〜4歳までには判明できること。タイプ判定検査は設備など難しい面もあり、どこの医療機関でも出来るものではなく、検査から判定まで3〜4ヶ月要するが、タイプ判定検査の費用(40万円弱)は、アメリカ・カナダでは医療健康保険の支払い対象の範囲になっていること。

OIを遺伝的に見ると殆どの場合は、優生で劣性のものはみられないこと。少ない割合であるが、OIではない親からOIの子供が産まれるが、この場合はどちらかの親が特殊な形をしたMOSAICISMと呼ばれる因子のキャリアーであることが分かっていること。これにより突然変異が胎児の身体の細胞の成長段階から始まることなどが報告されました。

 研究においてここまで解明されてきたが、ではどのようにこのOIの原因となるMOSAICISMのキャリアーを探し 決定することができるのか?が、これからの課題のひとつであると話されていました。

また今後の課題として、OIのGenotype(遺伝的変異)とPhenotype(臨床上の状態)との相互関係および、なぜ重度のがOIあるのか等を上げていました。

OIの生理学上の異常な面として、変異遺伝子はα1(I)またはα2(I)に位置している、非遺伝性の一時的変異の勾配との相互関係、身体の局所面における遺伝因子、そして合併症的に出ている遺伝因子などがある。

 最近では 国立衛生研究所(NIH)においてOIの遺伝子治療の研究に取り組んでいること。タイプTはコラーゲン異常が主なる要素であり、培養されたOIのフィイブロブラスト(線維芽細胞)にみられるタイプTのMRNA突然変異体コラーゲンであるRibozymeと呼ばれているものを抑制または抑止できるかどうかマウスのモデルを使って研究を進めている。マウスを使って世代にわたっての遺伝性やRibozymeの状態や有効性などを評価していくのを目的としている。

 成長ホルモンを使用した過去5年間の臨床実験とその経緯、結果として26人の子どもの症例を発表した。患者の治療開始年齢は8歳以下で今後は0歳児を含めた対象範囲を広げていきたいと考えていること。この治療においても事前にこの治療が自分に合っているのか、また自分の子どもに適しているのかを多面的視野(OIのタイプ、その他の体質など、リスクと効果そして将来において自分や他の人々にとって良いことなのか、等々)から検討することが必要と強調していました。

成長ホルモン治療において26人中14名の成長率が上昇し、特にタイプWが治療に対して一番反応を示した。治療においては頭蓋部のかん入部における変化と管理を注意して観察し、稼動性面における管理として下肢に長い装具を着装したりと充分な全体管理が必要であること。また、この治療を選択するに当たって主治医と相談しパイロットスタディの知識を得たり、管理下と無管理下の状態ではどう違うかや、この治療より予期されることと既往のものの比較などを充分に行い、データ等も参照して何が適切なのかを判断することに配慮していました。

この治療はDr. Mariniをリーダーとして10人前後の小児科医、整形外科医、PT, OT、看護婦、ソーシャルワーカーから成るチームによって行われている。成果は期待できるものであり、骨の成長、身体全体の管理、骨折の予防、長い下肢用の装具の着用、稼動性の好転など広範囲に渡る管理のもとに成長ホルモン治療が行われている。